相続放棄の正しいやり方を知ってますか?

タレントで野球解説者の長嶋一茂さんが、既に親(長嶋茂雄)の相続を放棄していると、出演したテレビ番組(2017年10月6日放送のテレビ東京系「あの人の通帳が見てみたい!」)の中で告白されたそうです。相続するのかしないのか、それは個人の自由ですが、相続放棄というのは、どういうものなのでしょうか。一度しっかりと確認しておきましょう。

相続を理解しましょう

最近は終活の一環として相続を学ぶ方が増えてきました。しかし相続放棄を理解するには、まず相続というものをきちんと理解しておかなければなりません。そこで相続についての基本を確認しておきましょう。

相続は、被相続人(故人)が亡くなったときに始まります。相続する財産は、預貯金や不動産というものの他に、借金などの債務も含まれます。専門家は、預貯金や不動産などをプラスの財産、借金などの債務をマイナスの財産などと表現することもあります。

つまり、相続するというのは、プラス財産だけでなくマイナスの財産まで含めて全部を受け継ぐ(承継)するということです。マイナスの財産が多いと、元々の自分の財産を削ってでも、その借金などを返済しなければなりません。

限定承認とは。またその注意点について

自分の財産が減るのは困るなと考える場合には、プラスの財産の範囲でしか相続しませんという相続も可能です。これを「限定承認」といいます。借金などの債務を支払って、プラスの財産に残りがあれば相続することになります。相続したプラス財産だけでは借金を全部払えない場合に、自己の財産から借金などを支払う必要はなくなります。注意点は、相続人が複数いる場合、全員で限定承認をする必要があるということです。限定承認は、家庭裁判所に申し立てることが必要です。

相続放棄とはどういう状態のこと?

相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産もすべて引き継がない(承継しない)ということです。より正確にいうと、相続人ではなくなるということです。法律では、被相続人(例えば親)が亡くなる前には相続放棄はできないとなっています。被相続人が亡くなって初めて相続が生じるのですから、被相続人の生存中には相続を放棄することはできないと考えれば、分かりやすいでしょう。

そして、相続放棄をするには家庭裁判所に申し立てる必要があります。相続人どうしの会話の中で、「俺は相続放棄をするから、あとは好きに分けてもらって構わないよ」というのは、相続放棄とはなりません。冒頭の長嶋一茂氏のニュースは、まさにこの状態ではないでしょうか。もしも長嶋茂雄氏が亡くなったときに、一茂氏が家庭裁判所に「父、長嶋茂雄の相続を放棄します」と申し出たならば、そこでようやく相続放棄が認められるのです。

遺産分割協議書の「相続を放棄する」はOK?

遺産分割協議書の中に、「●●は相続を放棄する」という記載が見受けられます。確認してみると、家庭裁判所には申し立てていないというケースが実際にあります。これは法律的には、相続放棄とは認められません。相続する割合がゼロと言うだけです。相続する割合がゼロなんだから相続放棄と代わりがない、と思われますか?残念ながら相続放棄と相続割合ゼロは全く異なります。相続放棄は相続人でなくなりますが、相続割合ゼロは相続人のままということです。万が一債権者が返済を求めてきたなら、返済の義務を負うのです。後から他の相続人に返してくれとは言えますが、債権者に他の相続人に請求してくれとは言えません。

相続放棄は正しく行わないと、もらえるものがないのに、支払いの義務だけを受け継ぐ(承継する)ことになり兼ねないのです。終活の一環として相続を勉強するのであれば、残される家族にも是非その知識を伝えていただきたいと思います。そして、あやふやなことは必ず専門家に確認しましょう。

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