お一人様が知っておくべき“あと”の手続

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独身の方で親・兄弟姉妹がおられない場合、ご自身の老後や亡くなった後のことが気になるという方が多いのではないでしょうか。また、いわゆる「お一人様」の終活としても、非常に関心のある事柄ではないでしょうか。

日本人の寿命が、着実に延びているのは事実です。ですが、皆さんは健康寿命をご存知ですか?
健康寿命とは、人の力を借りずに日常生活を送れる寿命のことです。これは、男女ともに70歳前半です。つまり、人の力を借りて生活しなければならない時間が、おおよそ10年間近くあるのです。これが現実なのです。
子や配偶者、兄弟姉妹がいれば、その方々を頼ることができるかもしれません。
しかし、そのような身内がいない場合、どのように老後や“あと”のことを考えておけばよいのか、整理していきましょう。

健康寿命を過ぎたとき

誰かの手を借りなければ日常生活に支障をきたすようになった場合、真っ先に相談できるのは、民生委員の方や金沢市地域包括支援センターです。地域包括支援センターは、2017年現在で、市内21か所にあります。しかも24時間電話相談ができる態勢になっています。地域包括支援センターでは、どんな些細な相談でも寄り添ってくれますので、是非覚えておいて欲しいと思います。

問題は、いきなり自分で相談できない状況になってしまうケースです。たとえば、急に家の中で倒れてしまったとか、認知症が急激に進んでしまったような場合です。前者のケースでは、いわゆる孤立死となりかねません。後者のケースでは、現実を受け入れられないために手遅れとなり、自分の把握できない状況となってしまうのです。後はすべて他人(成年後見人)任せです。

いきなりの事態にどう備えるか

突然倒れてしまったり、認知症が一気に進んでしまったりというような“いきなりの事態”に備えるために、家の中にセンサーを設置しておく方法があります。人の動きを一定時間察知できなければ、警備会社が出動してくれるという有料サービスです。

その他、日々の暮らしの中で備える工夫もありますので、事例を交えてご紹介いたしましょう。一人暮らしの70代男性の事例です。この男性が2日間洗濯物を取り込まないことを不思議に思ったお隣さんが、開けっ放しの窓から男性の家の中を覗き込んでくれたのです。そのおかげで、倒れている男性が発見され、男性は一命を取り留めました。この男性は夏にエアコンを付けずに家の中にいて、熱中症で倒れていたのです。

この事例から分かるように、ご近所とのお付き合いというのが、お一人様にとっては非常に大事だということです。一般的には、女性は男性よりもコミュニケーション能力が優れていると、言われています。ですから男性のお一人様は、ご近所との交流を図る意識を強く持つことが特に大事になってきます。

もう一つ事例をご紹介しましょう。都会の高層マンション上階にお住いの、女性のお一人様の事例です。この方は、マンションの一階にあるコンビニエンスストアに、毎日買い物に行かれます。コンビニエンスストアで買い物をするのが目的ではなく、顔を見せに行くことが目的なので、実は買い物がついでなのです。なぜ顔を見せにいくのか?それは、もしも無断で2日間顔を出さなかったら警察に連絡して欲しいと、お店のオーナーにお願いをしているからなのです。

このような人とのつながりがあると、とても安心できますよね。
しかしこういうお付き合いが煩わしいとなると、最初にご紹介したような有料サービスを活用せざるを得ないでしょう。ただし、一気に進む認知症については対応は難しいでしょうから、やはりご近所の方との日頃のお付き合いを大切にされることが重要です。

長期入院や施設入所にどう備えるか

もしもの事態への備えができたとして、長期入院や施設入所となったら、真っ先に気になるのは経済的問題です。この問題については、保険や預貯金で備えをしておられることと思われます。ですから考えるべきは、その先なのです。

誰がその預貯金を管理して、支払いをしてくれるのでしょうか?誰が保険会社に連絡してくれますか?保険金はどうやって受取りますか?そもそも認知症になったら、保険に入っていることを誰にどうやって伝えますか?ご自身は動けない、または認知症で理解できないという前提で考えてみましょう。
なかなかに難しい問題だと、ご理解いただけるのではないでしょうか。

ところで、このようなことに何の備えもしていないと、どうなるのでしょうか。
実はそのような方々は、それなりにおられます。このような場合どうなるかというと、金沢市の場合は、社会福祉協議会が対応してくれるのです。日常生活自立支援事業として、有料サービスを展開しています。医療費を支払う手続や預金の払戻、預金の解約等も対応可能です。ポイントは、1時間あたりの決まった単価で、かかった時間数分をお支払するということです。

また認知症などで全面的に支援が必要な場合には、金沢市長が家庭裁判所に後見の申立てをすることもあります。家庭裁判所が成年後見人を選任した場合には、すべての財産は成年後見人が管理します。何か手続きが必要となれば、それもすべて成年後見人が行います。

さて、話を戻しましょう。
自分が入院や入所で動けなくなったとき、お金の管理などをどうやって自発的に備えていくかということです。

この備えとしては、信頼できる人と財産管理を任せる契約をしておくのです。先ほど成年後見人のお話をしましたが、成年後見制度には法定後見人と任意後見人がいます。このうち任意後見人というのは、元気なうちに「もしものときは、よろしく」と契約を交わしておく後見人です。自分が信頼できる人を選んで契約しますが、「もしものとき」だと家庭裁判所が判断するまでは、後見人にはなれません。更に、その後見人を監督する後見監督人が選任されるまでは任意後見人になれません。

つまり、時間を要するのです。そこで、生前財産管理契約を交わしておくことで、もしものときはすぐに財産管理を頼めるようにしておくことが一般的になっています。法定後見人に、誰がなるのかは分かりません。任意後見人は吟味して、選ぶことができます。そういう意味では、少し安心できるのではないでしょうか。

このような話は費用が高過ぎてと、心配される方がおられます。費用は必ず発生しますが、意外にもそれほどの金額ではない場合もありますので、地域包括支援センターや社会福祉協議会にいろいろと相談されることを、お勧めいたします。

亡くなったあとにどう備えるか

何も備えがなければ財産は国庫に収まり、ご遺体は直葬の後、無縁墓に納められます。
そこで確実にお勧めできるのは、遺言書を用意しておくことです。遺言書があれば、それに従った処理が可能になります。福祉団体に財産のすべてを寄付したいという願いも、遺言書で実現させることができるのです(埋葬費用等の分は少なくなります)。ですが、市がその遺言書の通りに財産を処分する保証はありません。そもそも遺言書に気が付いてくれるかどうかも、分からないのです。

したがって、遺言書は信頼のできる方に預けておくようにしましょう。そして、然るべきときが来たことが分かるようにすることも大事です。遺言書を預けた人を遺言執行者とするのも忘れないでください。遺言執行者として指定されていなければ、遺言書を預かった人は自分では何もできないのです。非常に肝心なポイントです。

お墓を既に用意しているという方は、そのお墓についても遺言書に記してください(注)。遺言書は何度作り直しても大丈夫です。ですから、1年に一度作ることにしても構わないと思います。
ただし、遺言書はその形式を大変重要視します。一つの形式違反があっても、すべてが無効とされます。せめて最初に書くときくらいは、最低限専門家のチェックを受けるようにしましょう。

専門家に確認してもらうのは敷居が高いからといって、Web上にある遺言書のテンプレートを真似するだけでは不十分なことがあります。
なぜならば、遺言書を書く人の抱える状況や財産が、人それぞれに異なるからです。また遺言書で書き記したいと強く願う事柄は、一般的なテンプレートには無いこと可能性が高いです。

たとえば、お世話になった方に遺産の半分を渡したいだとか、ユニセフに遺産を寄付したいとか、そのような願いは、一般的なテンプレートにはありません。更に、借家住まいの場合の後処理についてのテンプレートなど、Web上で探すことは困難です。万が一見つけたとしても、遺言書を書かれる方の個人的な状況によって、書くべき内容が異なることがあります。
ですから、書くべき内容が遺言書に反映できているのか、形式に間違いはないのかを専門家に確認してもらうことをオススメします。

自筆証書遺言のチェックをお願いする専門家としては、弁護士・司法書士・行政書士がいます。費用は事務所ごとに様々で、平均すると4万円前後かと思われます。もっとも弁護士事務所の場合には、もう少し高額になってしまう場合もあります。
公正証書遺言の場合には、もう少し費用がかかります。遺言書の作成に加えて公証役場の手数料も必要になりますから、金額としては自筆証書遺言の3倍近い金額が想定されます。公証役場の手数料は、財産額によっても変わってきますので、一概には言えません。気になる方は、公証役場に財産と金額を伝えれば、教えてもらうことができます。

(注)心泉の永代供養墓やお葬式を生前に予約された場合は、何かあった際に遺言書なしでも対応できるよう、委任契約での締結を提案しております。詳しい詳細はお問い合わせください。

死亡後の各手続

遺族がいる場合は遺族が行うべき手続きは、お一人様の場合には基本放置状態です。そして手続きがされていないことが問題となってから、既に亡くなられているということを知って、各機関が独自にそれぞれ処理を行っていきます。
成年後見人(任意後見人の場合には、別途「死後事務委任契約」が必要)がいた場合は、その後見人が後の手続を行います。

 

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